F1GP、ボッタス覚醒で開幕優勝。ホンダ3位獲得

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2019年のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第1戦オーストラリアGP(開催地:豪・ビクトリア州メルボルン市、開催期間:3月14~17日)の決勝レースが3月17日(日曜日)に1周5.303kmのアルバート・パーク・グランプリ・サーキットを58周する形で行われ、決勝は、スタートで先頭に躍り出たメルセデスのバルテリ・ボッタスがマシンレギュレーションが一新された2019年シーズンの開幕戦を制した。(坂上 賢治)

当日これに追従したのが、今年からホンダのパワーユニットを搭載するレッドブル陣営のマックス・フェルスタッペン。

この後続にフェラーリの2台が続く結果となり、「ストリートコース上での決勝」、かつ「新レギュレーションによる開幕戦」という特殊条件下ではあるものの、ここ数年間はメルセデスに次ぐ存在だったフェラーリチームに黄色信号が灯った。

前日の16日に行われた予選では、先の通りマシンレギュレーションの変更により、当初はクルマ自体の戦闘能力低下が懸念されていたのだが、実際にフタを開けてみると1分20秒486のレコードタイムを叩き出したメルセデスのルイス・ハミルトンがポールポジションを確定させた。

これに0.1秒差の2番手のタイムを刻んだボッタスが続いた。3番手には、前シーズンからメルセデスの好敵手であり続けて来たフェラーリ陣営のセバスチャン・ベッテル。

しかし4番手にはレッドブルのフェルスタッペンが食い込んだ。続く5番手が、今季からフェラーリ陣営に加わったモナコ出身のシャルル・ルクレールとなり、前季、メルセデスとフェラーリの一騎打ちの展開が繰り返されたF1レースの争いに、ホンダパワーが食い込むという結末になっている。

予選の翌日に行われた決勝は、晴天下の外気温は24度、路面温度43.7度、湿度68.9%という穏やかな環境でスタートが切られた。

この時、1列目グリッドのアウトサイドに並んでいたボッタスが絶妙の滑り出しに成功。ポールポジションのハミルトンをかわしてホールショットを飾る。

この際のスタートトラブルの憂き目に遭ったのは、今季、レッドブルからルノー・ワークスに移籍したダニエル・リカルド。フロントウイングを破損させて大きく後退。リカルドは新たなノーズとハードタイヤに換装して、最後尾19番手からの再スタートとなった。

一方、先行するボッタスは、1分28秒台の安定したタイムを維持してチームメイトのハミルトンを引き離す。

これに対してハミルトンも追従するのだが不思議なほどペースが上がらず、前季のハミルトンとボッタスのレース展開が全く入れ替わったような格好で消化されていく。それどころか、むしろハミルトンは、スタート時に3番手のポジションに着いたベッテルの追撃に脅かされる展開となった。

スタートから11周目には、今季マクラーレンのステアリングを握るカルロス・サインツがエンジントラブルで脱落。13周目にはルノーのヒュルケンベルグがハードタイヤに交換。

アルファロメオ陣営から請われてフェラーリから移籍したキミ=マティアス・ライコネンが、ミディアムタイヤに交換してレースに復帰した。

ちなみに今回のタイヤ選択でピレリは、ハード(C2)、ミディアム(C3)、ソフト(C4)の3種のタイヤコンパウンドを用意したのだが、同レースがストリートコース上で実施されるメルボルンであることに加え、マシンレギュレーションが刷新されたことで、各チームがタイヤ選択で悩み、この選択が各チームにとって鬼門となった。

スタート時のタイヤ選択は、Q2での制約もあって上位10台に加えルノー陣営、トロ・ロッソ陣営のアレキサンダー・アルボン、マクラーレン陣営のカルロス・サインツがソフト。ウィリアムズ陣営のロバート・クビサは当初、ハードタイヤを選択していた。

首位を走り続けるボッタスは、24周目にミディアムタイヤに交換。ボッタスのタイヤ交換により一時期、首位を走っていたフェルスタッペンはミディアムタイヤに交換してフェラーリのベッテルに続く。

フェラーリのルクレールも絶好のタイミングでハードタイヤへの交換を行い上位グループからの脱落を抑えた。

しかしその直後に上位グループの入れ替わりがあり、新品タイヤを履いたフェルスタッペンがベッテルをオーバーテイク。結果、レース中盤の順位はボッタス、ハミルトン、フェルスタッペンという布陣に落ち着いた。

フェルスタッペンの後方には、チームメイトのベッテルとルクレールが競い合っており、この間、リカルドとグロージャンがレースから離脱。

中位以降は、ハースのケビン・マグヌッセン、ヒュルケンベルグ、ライコネン、レーシングポイントのランス・ストロール、トロロッソのダニール・クビアト、ガスリーの6台は近年のF1らしからぬ集団でレース終盤を目指した。

結果、ボッタスがレース最終盤に1分25秒580の決勝レースに於けるファステストラップを刻んで、終始首位をキープし続けてチェッカーフラッグを潜る。

2位に20秒886秒差でハミルトン。その後方にはF1復帰5年目にしてホンダエンジンを初の3位に導いたフェルスタッペンがチェッカー。ホンダのF1表彰台は、2008年のイギリスGP(ルーベンス・バリチェロ)以来11年ぶりの快挙となった。

4位ベッテル、5位ルクレール、6位マグヌッセン、7位ヒュルケンベルグ、8位ライコネン、9位ストロール、10位クビアトとなり、11位のガスリーは後方から追い上げ、1時上位グループの後方に付いていた中でタイヤ選択のタイミングで失策してノーポイントとなっている。

マシンレギュレーションの変更によりタイヤ選択で混乱が見られたオーストラリアだったが、次回は3月29日(金)開催のバーレーンGPとなる。

コースは今回と打って変わって、完全なクローズコースとなるため、マシンとタイヤ選択の選定には、おそらく各チーム共に慎重さを見せるものと思われ、そうした意味でバーレーンは第2の開幕戦となりそうだ。

なおホンダパワー搭載チームの決勝後のコメントは以下の通り

レッドブルレーシング、ピエール・ガスリー選手。「難しいレースだったが、ウイークを通してのペースは本当によかった」

かなり難しいレースになりました。僕のグリッドからは、今年大きくなったリアウイングの影響もあって、スタートシグナルが見えず、周りのマシンを見て動かざるを得なくてポジションを失いました。

そこでトラフィックに引っかかり、DRSを使ってもオーバーテイクは難しかったです。またフロントウイングにデブリが引っかかってしまったことも影響しました。

レース中は前のマシンに0.5秒差まで迫れたのですが、そこでタイヤがスライドして追い抜くことは難しく、全力でプッシュしたのですが、ポイントには届きませんでした。

全体的には、レースウイークを通してのペースは本当によかったです。予選でQ1敗退を喫してしまいましたが、アタックには満足していましたし、突破できなかったのは運がなかっただけです。バーレーンは大好きなグランプリで、マシンに競争力があるのも分かりましたので、このまま進んでいきたいです。2週間後まで集中を切らさず、プッシュしていきます。

レッドブルレーシング、マックス・フェルスタッペン選手。「ホンダとの仕事を楽しめていて、それが結果として報われました」

表彰台に上れてとてもうれしいですし、チームとHondaにとってもよかったと思います。僕らがHondaと一緒に働き始めてから、すべてが素晴らしく、本当にこの関係を楽しめていますので、3位という結果でそれが報われました。

終盤でルイス(ハミルトン選手)にチャレンジできたことも、セブ(ベッテル選手)をオーバーテイクしたのも、メルボルンでは難しいと思っていたので、とてもポジティブな成果です。

僕らはタイヤの持ちで少しアドバンテージがありましたが、オーバーテイクに至らずともルイスにプレッシャーをかけ続けられたことには満足しています。

マシンは本当によかったですし、ストレートでのスピードもあったので、これが残りのシーズンに向けていい兆候になればと思います。今日の表彰台は、Hondaにとって2008年以来だと聞きました。Hondaのみんなのために、こうした成果が出せて、本当にうれしいです。

レッドブルレーシング代表、クリスティアン・ホーナー氏。「新パートナーと初戦表彰台を獲得したことは素晴らしい結果です」

新たなPUパートナーのHondaと最初のレースで表彰台を獲得できたことは、素晴らしい結果です。Hondaにとっては、2008年以来のポディウムとなりました。今日のマックスは、卓越したパフォーマンスを見せました。

落ち着いたスタートを切ると、最速のピット作業を経て、C3(ミディアム)タイヤで速さを見せてセバスチャン(ベッテル選手)を見事にオーバーテイク。さらに、その後は、オーバーテイクには至らなかったものの、最後までルイスへプレッシャーをかけ続けました。

ピエールは、このオーバーテイクが難しいサーキットで、17番手スタートからポイント一歩手前のところでフィニッシュしました。全開でプッシュしてくれましたが、ポイント獲得に届かなかったのは残念です。ただ、懸命に戦ってくれましたし、彼が輝く日もきっと来るはずです。希望の見える開幕戦を終えましたが、バーレーンに向けて切り替えていきます。

トロロッソホンダ、アレクサンダー・アルボン選手。「ポイントを 取れたのではと少し悔しい気持ちですが、いい経験に」

今日は少し複雑な気分です。初めてのレースウイークでしたが、一体どのようなものになるのか事前に想像できませんでした。

レースは上手くスタートでき、クラッチを繋いだ瞬間、これは最高だ!と思いました。そしてそこから混戦の中でいくつか順位を上げ、ポイント圏内まではあと1台というところまで行くことができました。ただ、よかったのはそこまでかもしれません。

ジョビナッツィ選手ともバトルをしており、彼らはタイヤで苦しんでいるように見えましたし、同じタイヤ戦略を取ったチームはみんな上手くいっていなかったようです。

硬いタイヤを選択し、長く引っ張ったチームは僕を抜いて順位を上げてきました。その部分で少し失ったものはありましたが、週末全体の流れについては満足しています。

もしかしたらポイントを取れたかもしれないと思うと少し悔しい気持ちですが、いい経験になりましたし、全体としてはスムーズなレースウイークを過ごすことができました。

トロロッソホンダ、ダニール・クビアト選手。「レースの最後まで自分より速いマシンを抑えきれたことに満足しています」

今日は素晴らしいレースができました。自分のドライビングに満足していますし、本当に楽しむことができました。ポジティブな部分が多いレースだったと思いますが、それだけに昨日の予選で実力を出しきれなかったことが残念です。

レースを通して上手くタイヤをマネジメントできましたし、なによりマシンにはもっと上のペースを狙うためのスピードがあったと感じています。

ただ、ここはオーバーテイクが難しいサーキットでしたので、その点は残念でした。前を走るストロール選手に追いつきたかったのですが、ギリギリまで行きながら抜くことができませんでした。

ガスリー選手とはいいバトルをしましたが、これは十分勝負になると思って走っていましたし、レースの最後まで自分より速いマシンを抑えきれたことに満足しています。

シャシーもエンジンも感触はよく、パッケージとしていいものであると感じていますので、このまま開発を続けていかなくてはいけません。ここからの数戦についてはとても前向きに捉えていますし、いい結果を残せるのではと考えています」

トロロッソホンダ代表、フランツ・トスト氏。「力強いパッケージがあり、次戦に向けても希望を持っています」

毎年、メルボルンに来るのを楽しみにしています。開幕戦だからというだけでなく、最高のファンによる素晴らしい雰囲気があふれる、特別なレースだからです。

まず初めに、Honda、そしてAston Martin Red Bull Racingが表彰台を獲得したことに祝意を表します。この結果は、両者にとって大きな成功だと思います。

我々のレースは、13番手と15番手からスタートだったので、アレックスはソフト側のタイヤ、ダニールはミディアムタイヤでスタートと、両ドライバーの戦略を分けました。

これによって戦略に柔軟性を持たせることができたので、正しい判断でした。ダニールは素晴らしいレース運びで、ポイントをもたらしてくれました。彼にとっては2年ぶりのレースだったことを考えると、復帰戦をトップ10で飾れたことは、今後のシーズンにおいても大きいと思います。

アレックスも、F1デビュー戦で、かつ簡単なサーキットでないのに、いい仕事をしてくれました。レースでは一つもミスをせず、ウイークを通じて多くの経験を重ねました。開幕週を終えて、力強いパッケージがあると感じているので、次戦に向けても希望を持っています。

HONDA F1テクニカルディレクター田辺豊治氏。「表彰台で一歩を踏み出しましたが、まだトップには届きません」

2019年の初戦、Aston Martin Red Bull Racingとの初戦で表彰台に上ることができ、非常にいいスタートを切ることができました。

Hondaとしては2008年以来、2015年のF1の復帰以降では初の表彰台になりますが、素晴らしい走りを見せたフェルスタッペン選手と、それを見事な戦略で支えたチームに感謝をしています。

一方で、表彰台に上ったことは一歩を踏み出したと感じていますが、もっとパフォーマンスを上げないとまだトップには届かないことも実感しました。

Red Bull Toro Rosso Hondaについても、クビアト選手が復帰戦で力強い走りを見せ、10位入賞、ポイント獲得と、こちらもいい開幕戦になりました。マシンにポテンシャルがあることも確認できました。

両チームともに、ここからさらに開発を続けパフォーマンスを向上していかなくてはなりません。

まだシーズンのスタートを切ったばかりですし、ここが我々の目指す場所ではありませんが、ひとまず今日のようないいレースができたことはポジティブに捉えています。

ここまで努力を続けてきたSakuraやMilton Keynesのメンバー、それに社内外で支えていただいているすべての関係者やサプライヤー様にも感謝の言葉を送ります。

また、応援をいただいているファンの皆様とは、ようやく喜んでいただくことができたのではと思っています。今後もさらに多くの喜びを共有できればと思っていますので、引き続きご声援をよろしくお願いいたします。