独・ボッシュ、米スタートアップを買収しライドシェアリング事業へ参入

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米国の相乗りサービスのスタートアップ企業SPLTを買収し、アプリを使って通勤者向け相乗りサービスへ進出する

独のロバート・ボッシュGmbH(本社:独シュトゥットガルト、CEO:フォルクマル・デナー)は、ライドシェアリング事業に参入する。そのために主にグローバル規模でテクノロジーとサービスに特化して事業展開してきた同社は、デトロイトを拠点とするスタートアップ企業Splitting Fares Inc. (SPLT)を買収した。

このSPLTは、企業、大学、自治体当局が、自分達の組織内の職員に対して、ライドシェアリングサービスを提供することを目的に、そのプラットフォーム環境を運営しているスタートアップ企業である。

このようなB2B向けのアプローチは、不特定多数でない限られた通勤者向けに専用設計されているから、 SPLTはアプリを使って同じルートで通勤、通学する人たちをつなぎ留める役割を果たしつつ、着実に新たなビジネス実績を積み上げている。

ちなみにドイツ連邦自動車庁によると、ドイツだけで4,500万台以上の車両がある。そして、通勤者の数は年々増加している。

建設都市空間整備研究所(BBSR)の調べによると、自宅と職場が同一市内にない労働者は5人のうち3人にのぼる。

例えばドイツ連邦統計局によれば、労働人口の約3分の2が毎日の通勤の手段として自家用車を第一に挙げている。また多くの行政府や国家に於いて、自家用車が主な通勤手段であること自体は、世界的に見てもごく一般的なことでもある。

従ってラッシュアワーには頻繁に交通渋滞が発生し、何百万人もの通勤者が日々渋滞で立往生することになる。

さてここで一旦立ち止まり、よくよく考えてみると、ここで最も問題とすべき事は、仕事場を目指すドライバー達が、自ら一人乗りの自家用車で通勤しているということにある。つまり相乗りは、まだ例外的な手段であるからこそ、SPLTのソリューションが躍進する可能性があるのだと云う。

なおSPLTが手掛けるスマートフォン上のソフトウエアを介したアルゴリズムは、こうしたサービス提供時に、素早く同乗者をマッチングし、最短ルートを計算する。この際、アルゴリズムが果たすべき目的は、渋滞を緩和し、毎日の通勤の負担を軽減することにある。

そんなSPLTは2015年に設立された。そして現在、米国、メキシコ、ドイツで14万人がこのサービスを利用している。

今回、ボッシュとSPLTは、取得価格を非公開とすることを条件に互いの合流で果たしたのだが、今後、コネクテッドモビリティサービスで2桁成長を目指すとしているボッシュ取締役会メンバーで、同事業担当者のマルクス・ハイン氏は、「今回のSPLTの取得によって、私たちは成長分野であるモビリティサービスのポートフォリオを拡充している最中です」と述べている。

またハイン氏はさらに「スマートフォンは、移動時の最も重要なツールとなりつつあります。というのは、道路利用者と交通機関をスマートフォンを介してネットワーク化することで、自由度の高いマルチモーダルなモビリティが可能になるからです」と話す。

対して、SPLTの共同設立者兼CEOであるアーニャ・バビット(Anya Babbitt)氏は、「デジタルサービスとアプリを使って相乗り相手を見つけたり、カーシェアリングやタクシーを手配するライドシェアリングは、コネクテッドモビリティ分野での成長市場です。

2022年には、全世界のライドシェアリングの利用者数は現在より60%増加し、6億8,500万人に達すると予想されています。

これまで、既存のサービスでは、たまたま同じ方向に行く人や、その場で移動手段を確保しようという人を対象にしており、企業や通勤者は重視されていませんでした。しかし、そこに大きなポテンシャルがあります。

誰もが移動方法を瞬時に選び、必要な手配を行うことができます。この持続可能で安価なモビリティサービスにより、人々の移動のあり方を根本的に変えたいと考えています」と語っている。

実際、ライドシェアリングはストレスがなく、低コストで、環境に与える影響が少ない通勤を可能にする手段であり、SPLTが提示する通勤手段と組み合わせたアプリケーションの使い方は非常に簡単だ。

この場合、企業や大学、自治体当局は、職員がSPLTプラットフォームにアクセスできるようにすれば良いだけだからだ。

一方の職員はSPLTのアプリをダウンロード・登録し、相乗り相手を探したり、相乗りを申し出ることができる。予約はその場で、または事前に行うことが可能だ。

相乗りを介した勤務先までの到着時間は、リアルタイムで表示され、費用は同僚の間で分担され、オンラインで課金される。

このB2Bサービスは、毎日同じルートを移動する利用者を対象としており、このアプリの最も大きな利点のひとつは、相乗りするのが同僚だということにある。

つまり、利用者は全く知らない人と一緒に車に乗る必要がないのだ。付随的な効果として、このような相乗りはコミュニケーションを促進し、人脈作りにもつながる。

社用バスもアプリに統合することができ、より柔軟かつ効率的に利用することもできる。 その結果、ストレスを感じずに、低コストで、そして環境にもほとんど影響を与えることなく通勤が可能となるのだ。

企業はまた、交通量の削減にも貢献することができる。今後数年間で、SPLTユーザーの数は何倍にも増加し、利用できる地域も拡大していく。

ボッシュでは既にメキシコの従業員が同アプリを使用しており、今後、全社に利用を広げる予定だ。

先のアーニャ・バベット氏は、「私たちは、ボッシュと共に世界で成長を遂げるチャンスがあると信じています。

今後、SPLTはボッシュ・グループ内の独立事業体として稼働する100%出資子会社として運営していきます」と、そのビジネスモデルについての将来の在り方について述べ、結んでいる。