独・ボッシュ、東京で年次報告記者会見を実施。2015年の日本国内売上高は3.8%減


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近未来の自動運転車として、移動しながらインターネット会議等が行えるコンセプトカーも披露

独ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner:フォルクマル・デナー、以下ボッシュ)傘下の日本法人であるボッシュ株式会社は6月8日(水)の午前、東京・渋谷の本社ビルに於いて年次記者会見を実施した。

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その会見の壇上で、同社・代表取締役社長のウド・ヴォルツ氏は、「2015年度の日本国内に於ける第三者連結売上高が約2,700億円(約20億ユーロ)を記録した」と述べた。

この結果は中国の景気減速等の影響下で、売上高ベースに於いて前年比3.8%減となったものだが、日本の自動車メーカーに対する同社全体の世界売上では、前年比17%増と力強い成長を続けていると云う。

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また2016年の売上高予測では、自動車のセーフティシステムや、ガソリン直噴システム、医療用検査・包装技術などへの需要増加が見込まれることから、わずかに改善すると見ているようだ。

これを踏まえて今年度は、日本市場でのさらなる成長を目指すため、日本企業が特に強みを持つ自動運転、二輪車、そしてIoTソリューションなどの分野を中心に、積極的に投資を行っていく予定としている。

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ヴォルツ氏は、「我々は積極投資を行う事により、日本の顧客との取引をさらに拡大できると考えています。

ボッシュは、日本の顧客をグローバルベースで密接にサポートできるよう、世界各国の拠点間の連携をさらに強化させています」と語った。

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なお具体的な目標数値では、成長分野への積極的な取り組みを加速させることで、日本の自動車メーカーに対する全世界での売上を、2021年までの今後6年間で、2桁の年平均成長率を目指す。

 

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日本でも自動運転の公道試験を開始。会見ではネットワークへ常時接続して移動中にコンテンツを愉しめるコンセプトカーを紹介

一方ボッシュグループ内に於ける研究開発では、特に自動運転の取り組みに対して、昨年度より日本国内に於いても自動運転の公道試験を鋭意実施してきた。

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もとよりこの試みは、2011年からドイツ・米国では本格化されており、ドイツ外での実証実験は米国に次ぐ2番目となる。

同社では、日本での公道試験を介して左側通行や複雑な交差点などから得られた日本ならではの実験結果を、ドイツと米国のチームにフィードバックすることで、ボッシュの自動運転に関する技術をさらに発展させていく考えだ。

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ちなみにボッシュでは当面、2021年までに高速道路上で自動運転が行える『ハイウェイパイロット』の実現を目指しており、昨年完全子会社化した「Robert Bosch Automotive Steering」が、ボッシュの『オートモーティブ ステアリング』事業部門となり、自動運転の重要な要素であるステアリングシステムが、ボッシュの製品ポートフォリオに加わった。

このため日本に於いても、ステアリングと自動運転を開発する部門との連携を強化し、今後シナジーの創出を見込んでいく。

 

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併せて今回の記者報告会では、今年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー (Consumer Electronics Show)ことCES2016で出展した近未来の自動運転車として、移動しながらビデオ会議等が行えるコンセプトカーを披露した。

今回展示したコンセプトカーは、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)の統合がそもそもの開発テーマ。

これにより、ドライバーはひとつのインターフェースで、状況に最も適したインタラクティブな形式で情報を入手できるようになっている。

具体的には、一般的に前と中央に設置されるコンソールを大画面モニターに置き換え、あらゆる情報を特定の状況に合わせて柔軟に表示できるようにした。

さらに、全方位を照らす室内照明がこのディスプレイコンセプトを補完する。この照明は、色をドライバーの好みに合わせて変更できるだけでなく、危険が迫ったときには警報の役割も担う。

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たとえば歩行者や自転車が車両の前を横切ろうとした時には、照明が早めに点滅し、ドライバーに対して左右のどちらか該当する方向をすぐに確認するよう直接促す。

そのため、このアンビエントライト機能は、車線維持支援システム、緊急ブレーキ、トラフィックジャムアシストといったさまざまな車載安全機能に連なるものとして位置付けることができる。

自動運転が切り拓く新たな可能性を提案する

またクラウドやソーシャルメディア、通信アプリケーションからリアルタイムに交通情報や気象情報を入手できるようにもなっている。なお、操作時に他者に危険を及ぼすことのないよう、これらの機能は自動運転時のみ使用できる仕様としている。

同社カーマルチメディア部門・部門長、水野敬氏は、「安全性とドライバーおよび車両間のシームレスな応答に特に配慮しました。

第一段階では、高度な自動運転が可能になるとドライバーにそのことが伝えられ、車両に操作を委ねたい時は、両手の親指をステアリングホイール左右の当該部分に3秒間置くだけで、自動運転に切り替わります。

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ドライバーが再び自分で操作したい時や高速道路の出口が近付いた時も、同じ動作をすれば運転モードが切り替わります。

この柔軟なディスプレイコンセプトが真に本領を発揮するのは自動運転の場合です。

自動運転では、ビデオ会議、メールやメディアプレイヤーの画像がディスプレイのトップに表示されるようになり、ドライバーはスワイプ操作ひとつで複数の画面間をシームレスに切り替えることができます。

また、コンテンツは適合アルゴリズムにより、状況やドライバーの習慣に合わせて調整されます。もちろん、シートやミラーの位置やラジオ局といった設定内容の保存も可能です。

指紋認証機能を利用して車両を始動させると、こうして事前に記憶された個人設定がメモリーから呼び出されるようになっています。

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さらにクルマがネットワークでつながっているため、新しいコミュニケーションの可能性を開拓することが可能になります。

それは移動中に車内に於いてインターネット会議を可能にしたりするだけでなく、例えば誰かが自宅を訪ねて呼び鈴を鳴らした時には、クルマがインターホンを作動させてくれます。

また、車内に組み込まれた指紋センサーを利用して、遠隔操作で自宅の門を開けることもできます。荷物が届いた時などには配達員を玄関に通すことができ、指紋認証機能を使って荷物を受け取ることも可能になります。

こうしたことは自動運転を可能にするIoT(モノのインターネット化)により実現するのです」と語った。

 

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巨大な市場を有する日本の二輪メーカー向けに、独立事業化した事業部門を独自で新設

加えてボッシュは、日本国内市場に対して2015年に二輪車関連事業を統合させ、独立したビジネスユニット「モーターサイクル&パワースポーツ」を新たに設置した。

これは世界の二輪車市場で、日本メーカーが大きなシェアを占めていることから、あえてその本部を横浜に設置したのである。

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この試みについてヴォルツ氏は、「二輪車向け製品・サービスの売上高が約20%増加するなど、 すでに独立事業化の好影響が表れています。

二輪車生産の中心となる中国、インド、東南アジア諸国では、排気量250cc以下の 小型二輪車が手軽な乗り物として愛用されており、こうした小型車には効率性と安全性の向上へのニーズが高まっています。

事実、二輪車用安全装置のマーケッ トリーダーであるボッシュが提供するモーターサイクル用ABSの装備が、世界各国で奨励されつつあります。

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すでに欧州、日本、インドでABSの装備が義務化される予定で、ブラジル、台湾では将来的にABSの装備を義務付ける法案が成立しているほか、オーストラリアや米国でも政治的な検討課題として掲げられています。

こうした二輪車関連のニーズの高まりが、今後さらに二輪車向け事業を加速させると予想され、同ビジネスユニットの売上が今後数年でさらに成長すると見込んでいます」とコメントした。

 

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ソフトウエア開発を伴うIoTソリューションが、ボッシュの新たな成長の原動力に

一方、日本に於いてボッシュブランドの成長を牽引するのは、自動運転と二輪車向け事業だけではないと云う。

ボッシュは、モビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・建築関連テクノロジーのすべてのビジネスセクターでIoTソリューションに取り組んでおり、センサー、ソフトウェア、サービスの3領域で、コネクテッドサービスを強化することにより、ハードウェア事業基盤の強化を狙っている。

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こうしたIoT領域は、日本国内に於いても重要な戦略のひとつとなっており、その一環として今年、ボッシュ グローバル サービス ソリューションズ(Bosch Global Service Solutions) と、ボッシュ ソフトウェア イノベーションズ(Bosch Software Innovations)のふたつのビジネスユニットを立ち上げている。

前出のグローバル サービス ソリューションズは、ボッシュ・グループ内と顧客へグローバルベースでサービスを提供するビジネスユニットで、具体的にはすでに世界41ヶ国で提供している乗用車向け緊急通報サービス(eCall)を、2016年末から提供する予定だ。

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これは、自動車が事故の衝撃を検知すると自動的に救急サービスに通報するもので、事故に遇った車両のドライバーが手動で支援を要請することもできる。

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もうひとつのボッシュ ソフトウェア イノベーションズは、ソフトウェア システムハウスとしてソフトウェアとIoTソリューションの設計、開発、運用を受け持つもの。

日本はスマートシティの分野で先行しており、ボッシュは日本でIoTソリューションの展開を加速させ、ビジネスチャンス拡大を狙う。

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商用車、農建機市場を担うビジネスユニットも新たに新設へ

加えてボッシュは、商用車、農業機械、建設機械市場でリーディングサプライヤーとなることを目指し、専門のビジネスユニット「CVO事業室」を新設している。

これは専門のユニットを介して、商用車セグメントの顧客ニーズを満たすソリューションを提案していくもの。トラックなど商用車の分野では、自動化の推進による安全性の向上、そして各種サービスによるインフラ課題とフリートマネジメントの改善等に注力している。

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一方、農業機械の分野では省力化の実現、また建設機械の分野では、自動化およびモニタリ ングシステムによる安全性の向上や過酷な環境下での遠隔操作による稼動の実現を目指している。

ボッシュ・イン・ジャパン:
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