国際ブランド順位、日本最高位はトヨタ。その他多くの国内自動車銘柄は地域成長で苦戦も


インターブランド、「グローバル・ブランドランキングTOP100を発表

ブランディング会社のインターブランド(本社:米国ニューヨーク州、CEO:ジェズ・フランプトン)は9月25日、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2017」を発表した。

同社のランキングは、国際環境下で事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ順位を公示された財務価値や変化への対応力、体験価値や要求満足度など10要素の強度評価で分析した上で金額換算するもの。

さらにより具体的な評価内容については、本記事後半に記載していく。レポート自体の発表は、2000年からで、今年で通算18回目を迎えている。

そんな18回目となる今年の評価について、インターブランド グローバルCEOのジェズ・フランプトン氏は、「私たちは、社会・テクノロジー・産業の変化といった面で、最も刺激的な時代に生きています。

このような時代の中では成長がより困難になり、ビジネスはこれまで以上にブランドの浸透力を必要としてきます。

そのような時代を迎えるなかBest Global Brandsに名を連ねるブランド達は、それぞれの対象ブランドのひとつひとつが各セグメントの強力なブランドリーダーであることを示しています」と語っている。

なお同発表に合わせて東京都内に於いても、傘下の日本国内法人である株式会社インターブランドジャパンから、ブランド価値評価の国際ランキング「Best Global Brands 2017」の発表説明会が行われた。

具体的なランキングでは、AppleとGoogleが5年連続で第1位と2位となり、Appleのブランド価値は前年比+3%の1,842億ドルに。Googleは、同+6%の1,417億ドルとなった。

写真は、「Best Global Brands 2017のブランド評価」について説明を行う株式会社インターブランドジャパン代表取締役社長 兼 CEOの並木将仁(なみきまさひと)氏。

アジアブランドとしては、Samsungが最高位の6位にランクアップ。

日本のトヨタ自動車は7位となり、自動車ブランドとしては14年連続で世界最高位を維持している。

トヨタ自動車の評価詳細では、長期的なブランドコミュニケーションの柱となるオリンピック・パラリンピックの最高位スポンサーシップ活動の実施。

プリウスPHVのフルモデルチェンジで環境性能を高めた他、EV開発の社内ベンチャーを立ち上げる等での次世代環境車への対応強化への期待があるとしている。

一方でマイナス要因は、北米事業での販売台数の伸び悩みや円高、研究開発などの設備投資による直近の財務状況がブランド価値に影響を与えたとしている。

その他のTop100には、Netflix(78位)とSalesforce.com(84位)が初のランクイン。

Ferrariは2013年以来の再ランクインで88位となっている。結果、上位100ブランドのブランド価値合計は総額1兆8,717億ドルで、昨年より4.2%増加した。

Top Growing Brands(最も成長率の高いブランド)は、Facebook(前年比+48%),Amazon(+29%)、Adobe(+19%)、adidas(+17%)、Starbucks(+16%)となった。

Facebookは2012年の初ランクイン以来、5年連続でブランド価値成長率第1位となり初のTop10入りを果たした。またAmazonも初のTop5入りを果たしている。

個々のセクター別では、テクノロジー(15ブランド・計6,752億ドル)と、自動車(16ブランド,計2,668億ドル)が、ブランド価値合計の50%以上を占める結果となっている。

昨今、テクノロジー産業が様々なデジタルツールで顧客・生活者とのエンゲージメントを強める中、自動車産業は次世代モビリティの開発で、テクノロジーブランドと競争・共創の時代に突入しており、今後の持続的な成長が課題となっている。

なお、日本の自動車ブランドとして20位に位置するホンダこと本田技研工業は、新型シビックや、SUVなど競争力の高い商品が、北米・中国の四輪車販売が拡大していること。

2016年度の四輪車の世界販売で初めて500万台を超え、二輪事業もインドなどで好調を示していること。

さらにエアバッグのリコール問題に関する財務的なリスクが軽減したこともブランドの信頼性の向上に影響を与えていると評価されている。

加えてAIの活用に関して、外部機関との共同研究計画を発表するなど積極的な取り組みを進めていることなども挙げられている。

最後にHondaJetのアジア・中米・南米などでの販売拡大も、Hondaブランドの存在理由と競合との差別性を強化していると評価した。

さらにその下位、39位に位置する日産自動車は、同社のブランドが目指す姿「Innovation and Excitement for Everyone」の下,「Nissan IntelligentMobility」を中心にしたブランドへの取り組みを継続していることが評価の対象となった。

より具体的には、自動運転やEVを始めとしたテクノロジーにより、顧客ベネフィットを実現。

顧客体験の向上をもたらしていることで、競合優位性の向上と差別性の強化に寄与したとしている。

また単一車線自動運転を実現するプロパイロット機能の搭載モデルの拡大。より優れたコネクテッドカー実現に向けたMicrosoftとの戦略的提携などの継続的な取組みも、ブランド価値の向上に繋がっているとする。

その他の自動車関連企業では、SUBARUのブランド評価が、国際環境上に於いて大きく急伸している。この理由は、米国・欧州・アジアの3局に於ける積極的なブランド浸透の努力が功を博しているとしている。

実際のところSUBARUについては、現段階に於いて、米国一本足の事業注力が図られている訳ではあるが、ここ数年来による事業の「集中と選択」の実施に加え、個々地域に於けるブランド浸透活動で、特に経済規模が大きな欧米に於ける評価が、高く評価されている要因であろうと考えられる。

一方、例えばスズキは、財務状況に於いてSUBARUに比べ、大きく見劣りしているという訳ではないと考えられるが、国際環境上に於いてインド事業の圧倒的なシェアに比べ、米国に於けるブランド浸透活動に不足があるなど、評価として米国・欧州・アジアの3局の総合的な価値判断が基準となっていることにより、やや評価判断上、厳しい結果になっているのだろう。

最後にメディア産業は、MTVがランク外となる中、デジタル動画配信プラットフォームのNetflixがDiscoveryを超えるブランド価値で初ランクインし、デジタル時代の産業構造の変化を象徴する結果となった。

その他、「Best Global Brands 2017」レポート全編は以下URLを参照されたい: 

また日本国内に於けるナショナルブランド評価については、以下URLを参照されたい: 

なお、インターブランドによるBest Global Brands 2017のブランドの価値評価については、以下の様な評価基準・評価手法が下敷きとなっている。

<評価対象基準>
ランキングはグローバルな事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けする。

その評価対象としては、以下の基準を満たす企業・商品を抽出し,評価をしている。

· 主要基盤地域 (Home Region) 以外での売上高比率が30%以上であること。

· 北米・欧州・アジア地域で相応のプレゼンスがあり,新興国も幅広くカバーしていること。

· ブランドの財務的評価を実施するために必要な各種財務情報が公表されていること。

· 資本コストを織り込んだ経済的利益 (Economic Profit) が長期的にポジティブであること。

· 主要基盤地域のみならず,世界の主要な国々で,一般に広く認知されていること。

· ブランドが顧客の購買行動に影響を与えていること。

<評価手法>
インターブランドのブランド価値評価手法は、財務力・ブランドが購買意思決定に与える影響力。

そしてブランドによる将来収益の確かさなどという観点からみたブランド価値の評価となっている。

この領域では、証券アナリストが事業の価値を分析・評価するのと同じように「将来どれくらい収益を上げると予想されるか」という視点に基づいて、ブランドの価値を分析・評価する。

同手法は、ブランドの金銭的価値測定のための世界標準として、国際標準化機構(ISO)からISO10668の認定を受けている。

さらに評価は,具体的に以下の3つの分析によって構成されている。

1. 「財務分析」 – 企業が生み出す利益の将来予測を行う
まず,ブランドを冠する事業を特定し,その事業の現在の売上および将来の売上予測を算出する。

そして、その売上から営業費用・税金。そして投下資本に応じた資本コストを差し引き、現在から将来にわたる経済的利益を推計する。

同分析は、公開されている企業情報および2017年6月末時点でのアナリストによる将来予測値を基にする。

2. 「ブランドの役割分析」 – 利益のうち,ブランドの貢献分を抽出する
財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析する。

具体的な評価においては、ブランドが消費者の購買動向に果たす役割についてインターブランド社が過去 20 年以上にわたり実施した10,000を超えるブランド価値評価実績のデータベースを活用する。

そして業界ベンチマークを基にして独自の調査・分析により個別ブランドの”ブランドの貢献分”のスコアを算出する。

3. 「ブランド強度分析」 – ブランドによる利益の将来の確実性を評価する
ブランド強度分析は、市場でのロイヤリティ・消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測るもの。

これにブランドによる利益を割り引いて現在価値に換算するものとなっている。

同評価は、ブランドのリスクを判断する体系的な手法であり、ブランドの活力を見る10の項目から評価され、100をパーフェクトブランドとする0から100までのスコアで表される。

これらの項目の評価は同業種の他のブランドと比較して行われ、上位ブランドについては、他業種の世界レベルのブランドと比較して行われる。

そして同社のブランド強度スコアは、独自の計算手法により割引率に変換されて、その「割引率」で 将来のブランド利益を割り引く。これによりブランド価値が算定される。