マツダ、ガソリン・ディーゼルに次ぐ次世代エンジン「SKYACTIV-X」構想を発表

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技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」で、ガソリンエンジンにおける圧縮着火を実用化した最新技術の公表へ

マツダ株式会社(本社:広島県安芸郡府中町、社長:小飼雅道 以下、マツダ)は2017年8月8日13時、東京都千代田区内のイベント施設に於いて、来たるべき2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を公表した。

この「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」とは、美しい地球と心豊かな人・社会の実現を使命と捉え、クルマの持つ価値により、人の心を元気にすることを追究し続けます…という同社の新たな長期ビジョンを表したものである。

今回同社は、この新ビジョンの実現に向けて、ガソリンエンジンをベースに、これまで他社では成しえなかった圧縮着火(2017年8月現在 マツダ調べ)を世界で初めて実用化したことを宣言した。

これをマツダでは、次世代エンジンの「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」と称して、これを筆頭とする複数の次世代技術を2019年からの車両に順次導入していくと発表した。

マツダ代表取締役社長 兼 CEO、小飼 雅道氏

なおこの技術発表は、先の8月4日のトヨタとの技術提携に先立つ約1ヶ月も前より、同社の「新技術説明会」として経済記者に対してアナウンスされていたものであり、同日に詰め掛けた報道陣にとっても、このマツダのレシプロ動力ユニットに賭ける想いを介して、同社並々ならぬ拘りを改めて再確認する機会となった。

ちなみにこれまでマツダは、2007年に発表した技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」にもとづき、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」の両立に取り組んできた。

今回はこれを踏まえ、世界の自動車産業を取り巻く環境の急激な変化を見据え、より長期的な視野に立ち、クルマの持つ魅力である「走る歓び」によって「地球」・「社会」・「人」それぞれの課題解決を目指す新しいチャレンジ「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を策定した、としている。

そして同ビジョンに基づく次世代エンジン「SKYACTIV-X」は、クルマのライフサイクル全体を視野に入れて、「Well-to-Wheel(燃料採掘から車両走行まで)」の考え方にもとづき、本質的なCO2削減に向けた取り組みを本格化させたものだと云う。

この「Well-to-Wheel」の意味することを具体的には、
(1)「Well-to-Wheel」での企業平均CO2排出量を、2050年までに2010年比90%削減することを視野に、2030年までに50%削減を目標とする。

(2)そのために、実用環境下における燃費改善とエミッションのクリーン化の効果を最大化する。

(3)この方針に基づき、今後も世界的に大多数を占めると予測され、CO2の削減に最も効果のある内燃機関の理想を徹底的に追求し、効率的な電動化技術と組み合わせて導入していく。

(4)さらにクリーン発電地域や、大気汚染抑制のための自動車に関する規制がある地域に対して、EVなどの電気駆動技術を2019年から展開していく、というアプローチに基づくもの。

もちろんエンジン開発の他にも、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づく技術革新はさらに控えており、それらは…、

(5)事故のないクルマ社会の実現に向け、「MAZDA PROACTIVE SAFETY(マツダ・プロアクティブ・セーフティ)」の思想にもとづくさらなる安全技術の進化を追究すること。

(6)正しいドライビングポジション、ペダルレイアウト、良好な視界視認性などの基本安全技術の継続的進化と標準装備化。

 

(7)人間の認知、判断をサポートする先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」の標準装備化を推進。既に標準装備化を始めた日本に加え、2018年以降順次グローバルにも拡大。

(8)人間中心の自動運転コンセプト「Mazda Co-Pilot Concept(※マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」にもとづいて開発を進めている自動運転技術の実証実験を2020年に開始し、2025年までに標準装備化を目指す。

マツダ取締役専務執行役員・研究開発・MDI・コスト革新統括、藤原 清志氏

(※Mazda Co-Pilot Conceptとは、人間を中心に考えるマツダ独自の自動運転技術開発コンセプト。

人間が心と身体を活性化させながら、イキイキと運転している一方で、クルマは人間と車両の動きをしっかりと把握し、仮想運転をしている状態を実現していく。

そして、意識喪失などの不測の事態においては、クルマがオーバーライドして自動で外部に緊急連絡するとともに、最適な場所にクルマが自動運転し、周辺を含めて安全な状態を維持する。

(9)さらにコネクティビティ技術の活用により、クルマを使う人が交通弱者や過疎地での移動を支える役割を担えるビジネスモデルを創造する。

さらに「人」の領域では、
(10)「走る歓び」にあふれたクルマを通じて、地球を守り、社会を豊かにすることで、人々に心の充足を提供し、心を健康にする。

 

(11)そのためには人の能力を引き出し、心と体を活性化させる「人馬一体」感のさらなる追究を重ねていく。

(12)「クルマに命を与える」という哲学のもと、クルマのデザインを芸術の域まで高め、見る人全ての心を豊かにする「魂動デザイン」のさらなる進化を目指して行くとしている。

なおこれまでのガソリンエンジンとも、ディーゼルエンジンとも異なる次世代エンジン「SKYACTIV-X」とは…、

<革新技術>
(13)ガソリンと空気の混合気をピストンの圧縮によって自己着火させる燃焼技術(圧縮着火、Compression Ignition(CI))を世界で初めて実用化。

(14)マツダ独自の燃焼方式「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)」(火花点火制御圧縮着火)によって、従来ガソリンエンジンにおける圧縮着火(CI)の実用化で課題となっていた、圧縮着火(CI)の成立範囲を拡大することで、火花点火と圧縮着火(CI)のシームレスな切り替えを実現。

写真中央、マツダ代表取締役副社長執行役員、社長補佐、米州事業・管理領域統括、丸本 明氏

<特長>
(15)ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの特長を融合した、新しいマツダ独自の内燃機関であり、優れた環境性能と出力・動力性能を妥協なく両立。

(16)圧縮着火(CI)によるこれまでにないエンジンレスポンスの良さと、燃費改善目的で装備したエア供給機能を活用し、現行の「SKYACTIV-G」に比べて全域で10%以上、最大30%におよぶ大幅なトルク向上(現開発段階におけるマツダの測定にもとづく)を実現。

(17)圧縮着火(CI)で可能となるスーパーリーン燃焼(通常の火花点火では失火してまうレベルまで燃料を希薄化した状態)によって、エンジン単体の燃費率は現行の「SKYACTIV-G」と比べて最大で20~30%程度改善。2008年時点の同一排気量の当社ガソリンエンジンから、35~45%の改善。最新の「SKYACTIV-D」と同等以上の燃費率を実現。

(18)低燃費率領域が極めて広いエンジン特性によるギア比選定の自由度の大幅拡大により、走りと燃費を高次元で両立…と並ぶ。

ちなみに発表会見後には経営陣並びに技術陣が、報道側の質疑応答を受け、「ガソリンエンジンの燃焼技術としては、これがひとつの究極のシステムになるものと考えている。

また新開発されるSKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)は、まさにマツダのクルマにとっては、心臓と呼べる技術の核心にあたるもの。

従って、このエンジンを他社に広めてユニットの生産量を拡大し、コストを下げていくことなどは毛頭考えておらず、自社のアイデンティティーとして独自性を大切にしていきたい」と話していた。

最後にマツダとしては、「今後も将来においても『地球』、『社会』、『人』とクルマが共存する世界の実現を目指し、『走る歓び』にあふれたカーライフを通じて、お客さまの人生をより豊かにし、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指してまいります」と結んだ。