三菱自動車工業、特別調査委員会からの調査報告書を受領


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三菱自動車工業株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長 兼 社長・CEO:益子修、以下、三菱自動車)は、先の国内販売車両の燃費不正問題に起因する具体的な再発防止策の実施策に於いて、全社を挙げた取り組みを速やかに進めるため、社外に独立した外部専門家により構成される特別調査委員会を設置していた。

そしてこの8月3日、その同会から、表記本件に関わる調査報告書を受領したと発表している。

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同社発表の概要は以下の通り。

特別調査委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ

当社製車両の燃費試験における不正行為に関し、お客様はじめ多数の皆様にご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。

当社は、燃費不正の問題に関して、独立した外部の専門家により構成される特別調査委員会を本年4月25日付で設置いたしました。

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このたび、その調査報告書を受領しましたので、添付のとおり要約版と詳細版をお知らせいたします。なお、公表する調査報告書においては、特別調査委員会のご了解の下、個人のプライバシー及び当社の営業秘密保護等の観点から、部分的な非公表措置を行っております。

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特別調査委員会報告書のご指摘と今後の当社の対応について

当社の燃費不正問題に関しまして、お客様やお取引先様をはじめ多数の皆様に、多大なるご迷惑・ご心配をお掛けしておりますこと、改めて深くお詫び申し上げます。

本件問題の重大性に鑑み、独立性のある外部有識者のみで構成される特別調査委員会を設置し、客観的かつ徹底的な調査をして頂き、昨日8月1日、報告書を受領致しました。

3ヶ月という限られた期間の中でありながら、極めて広範囲な資料を精査し、154人にヒアリングし、精力的に調査頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。

本件不正に関し、当社が国土交通省に報告し公表させて頂いた内容を検証の上、改めて事実を掘り下げて頂きました。軽自動車の燃費改ざんでは、数値の不正な操作が次第にエスカレートしていった実態が浮き彫りとなりました。

原因・背景につきましても、大変厳しいご指摘を頂きました。本質的な原因として、「自動車開発に対する理念の共有がなされず、全社一体となって取り組む姿勢が欠けていた」とのご指摘を受けたことを、自動車メーカーの経営者として深刻に受け止めています。

現時点から振り返れば、法規の定めと異なる走行抵抗の測定方法を使用する不正が始まった1991年は、当社が国内で販売拡大へアクセルを踏んだ時期でした。報告書では、翌年の新型車16類別発売を実現するために、手順省略を目的とした不正がシステム化されていったとされています。

さらに、当社はこの頃、販売台数のピークにあり、米豪に続いて欧州への生産拠点の設立に踏み切っています。開発現場への負担も大きくなる一方でした。度重なる経営危機に加え、市場環境の変化やリーマンショックを経験し、現在ではこの3拠点から撤退しております。

また、お客様や社員からの反対もありましたが、事業再生に取り組む中で、車種・類別の削減に取り組み、「選択と集中」を段階的に進めてきました。しかし、今思えば、これも不十分であったと言わざるを得ません。

報告書は、長年にわたり、ヒト・モノ・カネ全てのリソース不足に開発現場が苦しんでいたことを指摘しています。私を含め歴代の経営陣は、現場の生の声にもっと向き合う努力をすべきでした。

このように本件問題の背景は、“身の丈を越えた”過大な車種展開であったと改めて認識しています。社内には本件問題を踏まえ、すでに変化の兆しも出てきており、開発部門からの提案を経営としても受け止め、公表させて頂いている商品計画から、すでに1車種の開発中止を決定致しました。

クルマの技術開発においては近年、予防安全や自動運転といった新しいIT技術の導入が進み、開発の難易度も上がっています。厳しい環境の中にありますが、日産自動車との提携によるシナジー効果を最大限に活用して、開発計画の最適化を図り、三菱らしいクルマづくりに取り組んで参ります。

再発防止策については、企業理念などより広い見地から指針をお示し頂いているところであり、それをしっかり踏まえた上で、公表済みの23項目の再発防止策を、今後、新設の事業構造改革室のリードの下、着実に実行して参ります。関係者の処分についても、社内規定に基づき厳正に進めます。

当社は2000年以降、リコール問題を繰り返してきました。隠蔽体質やものの言えない雰囲気といった企業風土に係わる問題も、度々指摘されてきました。私自身も2005年1月に社長に就任して以来、会社を変えるべく改革に取り組んで来ましたが、本件問題により、取り組みが十分でなかったと認識しています。

当社と致しましては、報告書のご指摘を真摯に受け止め、ものづくり企業としての再出発を図って参る所存です。社員、役員の全員がクルマづくりの原点に立ち返り、目指すべき理念についてしっかりと議論し、一体となって改革を実行して参ります。

2016年8月2日
三菱自動車工業
取締役会長兼社長
益子 修

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燃費不正問題に関する調査報告書の概要
2016年08月02日

特別調査委員会 委員長 渡辺 恵一
委員 八重樫 武久
委員 坂田 吉郎
委員 吉野 弦太

1 調査の概要

(1−1)調査期間
2016年(平成28年)4月25日から同年7月31日までの間

(1−2)調査の方法
関係資料の精査、ヒアリングの実施(合計154名、のべ236回)等

2.調査結果

(2−1)法規で定められた惰行法によらない走行抵抗の測定
MMCは、遅くとも1991年(平成3年)12月ころから、約25年間にわたり、その間に製造・販売されたほぼすべての車種について、法規で定められた惰行法を用いて走行抵抗を測定せず、高速惰行法により測定した走行抵抗をもとに、惰行法により走行抵抗を測定したかのような体裁を有する負荷設定記録を作成できる逆算プログラムを使用し、さらに測定期日や測定場所などについて事実と異なる記載をした負荷設定記録を作成し、これを提出して型式指定審査を受けていた。

(2−2) 走行抵抗の恣意的な改ざん及び机上計算
MMCは、遅くとも2005年(平成17年)12月ころから、開発段階において測定した走行抵抗があるにもかかわらず、あるいは実車を用いて測定していないものの一応の合理的な根拠をもって計算した走行抵抗があるにもかかわらず、燃費目標を達成するために、それらの数値を用いることなく、恣意的に走行抵抗を引き下げて、型式指定審査の際の走行抵抗として使用していた。

また、MMCは、型式指定審査の際に使用する走行抵抗は実際に試験自動車を走行させて測定した数値を用いなければならないのに、それをせず、過去に測定した走行抵抗に、仕様の変更等に伴う走行抵抗の変化を机上計算した数値を補正し、これを型式指定審査の際の走行抵抗として使用していた。

(2−3)eKワゴン/eKスペースに関する走行抵抗の恣意的な算出と引下げ
2013年(平成25年)6月に販売された14年型eKワゴンと、その後に順次開発して販売された14年型eKスペース、15年型eKワゴン、15年型eKスペース、16年型eKワゴンは、いずれも燃費目標を達成するため、走行抵抗、特に転がり抵抗係数(µr)の恣意的な算出と引下げが行われていたが、その概要は、以下のとおりであり、数値の不正な作出と評価される程度に、次第にエスカレートしていったものである。

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14年型eKワゴン(2WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0052)は、タイで実走実験を行い、そこで得られたデータのうち、下限のデータ群を選別して算出された(実際に型式指定審査の際に使用された数値は0.0055)。14年型eKワゴン(4WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0072)は、2WDの数値に0.0020を加えたものである。14年型eKスペース(4WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0060)は、日本で実走実験を行い、そこで得られたデータのうち、下限のデータ群を選別して算出された。

しかし、15年型eKワゴン以降は、このようにして算出した転がり抵抗係数(µr)を起点として、何ら根拠なく、転がり抵抗係数(µr)を更に恣意的に引き下げて、型式指定審査の際に使用した。

すなわち、15年型eKワゴン(2WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0049)は、14年型eKワゴン(2WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0052)のデータを、根拠なく、下方に描き直して導き出された。

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15年型eKスペース(4WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0053)は、14年型eKスペース(4WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0060)を、根拠なく、下方に描き直した上で、タイヤ改良分を机上計算により更に低くして導き出された。また、15年型eKスペース(2WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0042)は、15年型eKワゴン(2WD)の転がり抵抗係数(0.0049)から、単に0.0007を差し引くことで導き出された。

16年型eKワゴン(2WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0042)は、当初は、15年型eKワゴン(2WD)の転がり抵抗係数(µr)(0.0049)から、根拠なく引き下げたり、タイヤ改良分を机上計算していたが、最後は、根拠なく、15年型eKスペース(2WD)の転がり抵抗係数(µr)をそのまま流用して導き出された。

3.本件の原因・背景

本件の原因・背景には、下記(3−1)~(3−6)があったと考えるが、これらの原因・背景の根本まで掘り下げて分析してみると、MMCの経営陣及び開発本部の幹部による開発現場に対する関心が低く、また、開発本部の各部署も自分たちの業務にしか関心を持たず、結局のところ、下記(3−7)のとおり、MMC全体で自動車開発に対する理念の共有がなされず、全社一体となって自動車開発に取り組む姿勢が欠けていたことが本質的な原因であったと考える。

本件問題は、性能実験部及び認証試験グループ、更には開発本部だけの問題ではなく、経営陣をはじめとするMMC全体の問題である。

(3−1)性能実験部及び認証試験グループが燃費目標達成に向けた事実上の責任を負っていたこと
(3−2)開発における工数が慢性的に不足していたこと
(3−3)性能実験部ができないことを「できない」と言うことが容易ではない部署になっていたこと
(3−4)法規違反であることの意識が希薄であり、法規が軽んじられていること
(3−5)不正行為が長年にわたり発覚せず、改められもしなかったこと
(3−6)eKワゴン/eKスペースについて、技術的議論が不十分なまま燃費目標の設定がされたこと
(3−7)会社が一体となって自動車を作り、売るという意識が欠如していること

4.再発防止策

MMCにおいては、これまでの様々な再発防止策によっても本件問題を防げなかったという現実があることから、当委員会は、MMCの再生にとって真に重要なのは、経営陣や全役職員による徹底的な議論を経て、MMCとして、目指すべきクルマ作りについて共通理念を固め、MMCで働く人たちの思いを一致させることではないかと考えた。

再発防止策についても、当委員会が提示する再発防止策にただ漫然と取り組むのではなく、全社一丸となって、必要な再発防止策を自ら考え、自ら実行していくことが求められる。

そのため、当委員会としては、個別・具体的な再発防止策を提示するのではなく、MMCが自ら再発防止策を考えるにあたって骨格となるべき指針を示すこととした。

(4−1)開発プロセスの見直し
(4−2)屋上屋を重ねる制度、組織、取組の見直し
(4−3)組織の閉鎖性やブラックボックス化を解消するための人事制度
(4−4)法規の趣旨を理解すること
(4−5)不正の発見と是正に向けた幅広い取組

燃費不正問題に関する調査報告書(要約版) (PDF、42ページ、711KB)
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燃費不正問題に関する調査報告書 (PDF、264ページ、3.6MB)
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以上