アウディAGのシュタートラーCEO、ジュネーブ国連会議で人工知能の講演

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ジュネーブの国連会議『AI for Good Global Summit(よりよき世界のためのAIグローバルサミット)』で、アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長兼CEO:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)のシュタートラーCEOが人類の利益のために人工知能を活用することに関してスピーチを行った。

このスピーチは、『ビヨンド イニシアチブ(将来直面する問題に関する発議)』と呼ばれる取り組みを通じて、人工知能による自動運転の倫理的・法的問題と、労働世界の未来を議論したもの。

会議では、国際電気通信連合(ITU)・情報通信技術を担当している国連機関・及びピーター ディアマンディスにより創立されたXPRIZE財団の各団体が主催して延べ3日間にわたって論議が交わされた。

そんな『AI for Good Global Summit』の開会を告げる基調スピーチのなかでシュタートラー氏は、「今後、自動運転は、人々の暮らしを大幅に向上させる機会を提供していくことでしょう」と口火を切った。

しかしその一方で、過度な期待は禁物であるとも語った。シュタートラー氏は、「事故が避けられない状況に於いて、人々は自動運転車が常に正しい判断を下すことを期待してしまいます。

しかし、ジレンマを解決することができないのは、人も機械も同じことなのです。

それゆえ、法的問題に加えて、この新しいテクノロジーの利用に関する倫理的な問題も検討する必要があります」と、付け加えた。そして同氏は、『ビヨンド イニシアチブ』を通じて、そうした議論が交わされることを求めた。

さらにシュタートラー氏は、国連の専門家を前に、「倫理的、法的問題を含め、私たちは大きな可能性を秘めた自動運転の技術の進歩に関して、社会的な議論をより深めていく必要があります。

例えば、科学及び産業界の専門家は、人工知能(AI)こそ、自動運転を実現するためのキーテクノロジーであると考えています。

確かに人工知能は、クルマが周囲の状況を認識して、適切な運転判断を下していく上で、我々人間にとって大きな助けとなります。

しかし一旦、事故が起きた時、その責任は誰が取ることになるのか。 また、事故が避けがたい状況において、自動運転のクルマはどのように対応するべきなのか、という問題に対して、当社は一般の人々の懸念を真剣に受け止めながら、直接的な当事者のひとりとして、こうした問題に関する課題解決に懸命に取り組んでいる真っ最中なのです。

自動車メーカーである当社アウディは、過去2年にわたって、科学及びビジネスの分野で国際的に活躍する専門家たちと学際的ネットワークを構築してきました。

この取り組みで我々は、自動車の走行環境上の課題のみならず、労働の世界を含めて、人工知能が及ぼす大きな社会的影響にも焦点をあてています。

このため初期の会合には、コンピューター科学者、起業家だけではなく、哲学者、心理学者、法律の専門家たちも参加しました。

そんな自動運転の倫理的、法的問題に関するワークショップに於いて、意見交換した人々のなかには、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディア研究所のリヤド ラーワンとケート ダーリン氏、オクスフォード大学のルチアーノ フロリディ氏、南カリフォルニア大学のブライアント ウォーカー スミス氏といった人物が含まれています。

しかし今後、『AI for Good Global Summit』を通した『ビヨンド イニシアチブ』の議論に関しては、一般の人々も加わって頂かなければなりません。

このような場面に於いて、自動車産業内だけの知恵のみでは、自動運転の倫理的、法的問題を解決することはできません。研究者、産業界、政治家、さらに社会全体もさらに協力し合わなければならないからです。

より考えを深めていく次段階のステップでは、さらに多くの人々に参加してもらい、様々な研究機関とも協力して、議論を進めていくことになるでしょう」と畳み掛けた。

これを踏まえシュタートラー氏は、喫緊の労働環境に於ける課題についても語り始め、「『ビヨンド イニシアチブ』が取り組む第2の課題は、AI時代における労働世界の未来を作っていくことを意味します。

人工知能が人々の労働の在り方をどのように変えていくのか、より正確な分析をしていく必要があるのです。

これは、労働市場の基本的なメカニズムと関連すると同時に、企業のなかの具体的プロジェクトとも関係があります。また併せて、私たちが目指すべき目標は、人と機械の完全な協力関係を構築することにあります。

例えば、組み立てラインを使わないモジュラーアッセンブリーのアイデアは、将来の効率化された工場(スマートファクトリー)において、この関係をよく示している一例です。

その際、我々は人工知能を、社会の利益のためにどのように役立てていくのか、ということです。

人工知能が人々の生活をどのように変えるのか?その答えは私たち次第であり、私たちがこの新しいテクノロジーの可能性をどのように活用するかにかかっているのです」と述べた。