ボルボ・カーズ、米国に製造工場を初開設。製造拠点を国際展開へ

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ボルボ・カーズ(本社:ヴェストラ・イェータランド県・イエテボリ、CEO:ホーカン·サミュエルソン)は6月20日、米国サウスカロライナ州チャールストンに米国で最初の製造工場を開設した。

これにより、ボルボ・カーズはグローバルな自動車メーカーとして世界の市場経済下で最も強力な3つの主要販売地域すべてに自前の工場を持つことになり、米国に新設した生産施設は、ボルボ・カーズの「販売する場所で製造する」というグローバル戦略に従って、ここ米国サウスカロライナ州に設立されることになったのである。

ちなみにここで一旦、過去を翻(ひるがえ)ってみると、実は米国でこれまで自動車製造の1大拠点と言えば、東はカナダに隣接、南北をエリー湖とヒューロン湖に挟まれた中西部のミシガン州一帯が優先的に選ばれてきた。

これはこの一帯に存在していた自動車産業に関わる熟練労働者を当て込んだものであったのだが、一方で同エリアは過去にビックスリーが中西部に集中して製造拠点を構えていたことから、強い労組が息づく地域でもあった。

そうしたなかボルボが拠点建設に約5億ドルもの資金を投じて既存の米国中西部ではなく、ここ南東部にあたるサウスカロライナ州に製造拠点を据えたのには、幾つかの理由がある。

そのひとつには、サウスカロライナ州のなかでもこのバークレー郡は、国際的な貿易港があるチャールストンに隣接しているなどの社会インフラが整っていること。

さらに優秀かつ、旧来の強い労組に依存しない新たな労働力が期待できること。繊維産業をルーツとし、近年では航空産業や防衛産業など高い生産技術を有した技術基盤があることなどを考慮した結果だ。

この着目点は欧州のライバル勢も同じであり、近隣に相次いで米国外の自動車メーカー各社が生産拠点を構え始めており、サウスカロライナ州政府もこれを受けて、投資規模に応じ法人税率に関する優遇措置を敷いている。

また労働者の研修プログラムで同州政府は、ボルボに対して1000名に迫る教育プログラムの実施で、より優秀な労働者の育成に便宜を図るなど企業誘致に熱心に取り組んできた。

このような理由で設けられたボルボ初の米国工場は、欧州の2つの製造工場と1つのエンジン工場。中国の3つの製造工場と1つのエンジン工場。さらにインドとマレーシアの組立工場を補完するものとなる。

具体的にはチャールストン工場に於いては2018年秋、ボルボの中大型車プラットフォーム「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」をベースにした全く新しいプレミアム・ミッドサイズ・スポーツセダン、新型S60の世界初生産を開始する。

また約3年後の2021年からは、次世代大型プレミアムSUV、XC90を生産。同工場で生産される車両は、米国内市場向けおよび国際市場へ向けて、その半数は米国発の輸出向け車両になる見込みだ。

併せて同社は、新型S60を当面このチャールストン工場からのみで生産し、全世界に向けて輸出していくと公表した。これに伴い年内だけでも実に1500人の従業員が雇用される。

ボルボ・カー・グループ代表取締役社長兼CEOのホーカン・サムエルソン氏は、「チャールストン工場は、米国をボルボの第3の市場として確立させる役割を担っています。

セダン・セグメントおよびSPAは、収益性向上への実績があり、米国のみならず世界のボルボ・カーズにとって大きな成長の機会を提供するでしょう」と話している。

都合、ボルボ・カーズは、米国の製造事業に約11億米ドル(約1,200億円)を投資。チャールストンでは今後数年間で約4,000名の新規雇用を創出する予定。今年末までには先に記載通りで、約1,500名の従業員採用を急ぐ計画だ。

結果、同工場から出荷される車両は3年後には15万台に達し、その半分が米国外に向けて輸出することになるのだ。

ボルボ・カー・アメリカの代表取締役社長兼CEOであるアンダース・グスタフソン氏は、こうした活動とその目標について「ボルボ初の米国工場の開設は、とても重要な出来事です。

ボルボの米国での事業は順調に発展しており、ボルボ車は栄誉ある数々の賞を受賞しています。

サウスカロライナ州のこの新しい製造施設は、ボルボ・カーズと同地域の両方にとって、大きな資産となることでしょう」と語っている。

ちなみにチャールストンの新しい製造施設には、研究開発、購買、品質、販売の各部門で最大300名のスタッフが従事する事務所棟がある。ここでも新たな雇用創出の機会が生まれるだろう。

最終的に同工場がフル稼働した場合、年間15万台超の車両を生産する能力があり、同工場の敷地は1,600エーカーを占め、建物の占有面積は230万平方フィートの広さを誇る。

なお同工場の建設計画は2015年の着工にまで遡る。今から3年前の9月25日(米国時間)に起工式が行われ、ボルボ米国担当上級副社長のレックス・カーセマケルス氏のほか、サウスカロライナ州での当時のニッキ・ヘイリー知事や、州政府高官もこの式典に出席している。

最後にボルボは世界各地の自動車工場で、プラグイン・ハイブリッド・カーを製造。2017年、ボルボ・カーズは、グローバルの自動車メーカーとして初めて、2019年以降に発売するすべての新型車を電動化するという戦略も併せて発表した。(坂上 賢治)