独・アウディAGの暫定取締役会会長にアブラハムショット氏が就任

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アウディAG取締役会会長ルパート シュタートラー氏は6月18日、ミュンヘン検察庁に身柄を拘束される

独・アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長兼CEO:ルパート・シュタートラー)の取締役会会長であるルパート シュタートラー氏が6月18日、ミュンヘン検察庁に身柄を拘束された。

これは予てよりドイツ当地でも懸案として取り沙汰されてきた排出ガス不正の原因究明に関して、行政当局の捜査上にルパート・シュタートラー氏の関与が浮上してきたことによるもの。拘束の理由は、同氏をこのまま放置していると、一連の詐欺行為について証拠隠滅の可能性があるとミュンへン検察当局が判断した。

ちなみに検察当局は、この6月に入ってからアウディ社内に対する捜索活動を拡大していた。そもそもシュタートラー氏はそれ以前より、詐欺や虚偽広告容疑で家宅捜索を受けており、元々同氏がグループの販売責任者も務めていたことから、違法ソフトウエアを搭載した乗用車の存在を知りつつも欧州市場で販売したことへの関与が疑われている。

これまでの一連の捜査のなか、拘束に至ったグループ関連社員のなかで、今回のシュタートラー氏が最も地位の高い幹部となった。同問題に関しては、米国内での不正捜査が主体となって進められてきたが、ドイツ国内に於ける同問題の措置については、同国内産業を基礎を支える自動車業界の不祥事であることから、行政当局の動きも極めて慎重。従って永らく解明に至る道程での停滞状態が続いていた。

当初フォルクスワーゲンAGとアウディAGの取締役会は、シュタートラー氏がインゴルシュタットの自宅で拘束されるとの報告を受けて、同氏不在のアウディの経営方法について話し合ったのだが結論に至らず、結局、翌日拘束されたシュタートラー氏自身が、アウディAG及びフォルクスワーゲンAGの監査役会に対して、自身の両社の取締役の任を解くように依頼し、両社の監査役会が、これを承認した形となった。

この流れを受け、同社監査役会は空席となった取締役会会長に、暫定策としてアブラハム・ショット氏(56歳)を取締役会会長に任命し、これを即時に発効させた。同措置は、シュタートラー氏の拘束に至った状態が解決されるまで暫定的に適用される。

同社グループはこの措置について、「逮捕につながった状況が明らかになるまでの一時的なもの」としているのだが、シュタートラー氏の勾留期間は現段階では未定であり、これを踏まえて、経営の空白を防ぐ目的が内包されていると考えられる。従って当地では、この状況の長期化が懸念されている。

またアウディAG及びフォルクスワーゲンAGでは、同事件に関わるシュタートラー氏を含むグループ企業の取締役の関与については一切否定。今回についても推定無罪の原則が適用されると話している。

アブラハム・ショット氏は、オランダ・ロッテルダム生まれで独ダイムラーから2011年のフォルクスワーゲン移籍を経て、2017年9月1日にアウディAGの取締役に就任し、以降、販売・マーケティングを統括していた人物である。(坂上 賢治)